銀行は“数字の裏側”を見ている
- あいおい法務行政書士事務所
- 10月24日
- 読了時間: 3分
~銀行融資を引き出すために、経営者が押さえるべき6つの視点~
銀行融資は「資金繰りの最後の砦」です。
であると同時に、企業の「信用力を映す鏡」でもあります。
では、銀行はどのような基準で融資可否を判断しているのでしょうか。
今回はそのポイントを明確に、大きく6つに整理してみます。
1. 必要金額
融資申込額が妥当かどうか。
事業計画に基づき「いくら必要か?」を明確に根拠を示すことが第一歩です。
2. 資金使途
運転資金なのか設備資金なのか。
仕入・人件費・広告費などの運転資金か、あるいは機械や建物などの設備資金か。
いずれも見積書や契約書など、裏付け資料の提示が必須となります。
3. 返済財源
原則的には、短期借入なら売上入金、長期借入ならキャッシュフロー(CF)が返済原資となります。 ※キャッシュフロー(簡易CF)=経常利益ー法人税等+減価償却費
銀行は「CF>返済額」であるかを厳しく見ています。
事業計画書や資金繰り表で、返済可能性を数字で示すことが欠かせません。
4. 保全(担保・保証)
返済不能時のリスクヘッジとして、経営者保証や不動産担保、信用保証協会の保証などが求められます。
中小企業では依然として「経営者保証」が原則ですが、昨今は「経営者保証ガイドライン」に則り、保証を付けない(又は保証を外す)融資の流れになりつつあります。
5. 返済期間
運転資金は3~7年、設備資金は5~15年が一般的です。
長期融資は月々の返済負担を軽減しますが金利は高め、短期融資は金利が低い一方で月々の返済負担が重くなる傾向がありますが「短期継続融資」を利用して返済をせずに継続して借り続ける方法もあります。
6. 金利
融資期間やリスクに応じて変動します。
資金繰りの安定性と利息負担のバランスをどう取るかは、経営判断そのものです。
銀行が最も重視するのは「財務内容」
融資の前提は、決算内容が健全であることです。
具体的には、損益計算書なら黒字であり、貸借対照表なら債務超過でないこと。
債務者区分が「要注意先」以上でなければ、新規融資は極めて困難です。
つまり、財務改善の努力なくして資金調達の道は開けません。
ここで改めて考えていただきたいのは、次の3つです。
• 自社のキャッシュフロー(CF)は、返済原資として十分に説明できる水準にあるか。
• 必要金額と資金使途を、事業計画書で具体的に示せる準備が整っているか。
• 万一に備えた担保・保証の体制をどう整えるか。
銀行融資は単なる資金調達手段というだけではありません。
経営の健全性を映す「試金石」の役割を果たします。
融資審査の6つの視点を自社に当てはめてみて、事業計画や財務体質を見直すことが、次の成長ステージへの第一歩となります。

コメント