進化する創業融資制度
- あいおい法務行政書士事務所
- 10月31日
- 読了時間: 3分
~~~無担保・無保証で広がる資金調達の可能性~~~
創業時の大きな課題の一つが「資金調達」です。
これまで創業者が利用できる融資には大きく二つの選択肢がありました。ひとつは政府系金融機関である「日本政策金融公庫」の創業融資、もうひとつは地方自治体が金融機関・信用保証協会と連携して行う「制度融資」です。
近年、この二つの制度が大きく進化し、創業者にとってより利用しやすい環境が整ってきました。
●日本政策金融公庫の制度拡充(2024年4月~)
多くの創業者が利用する日本政策金融公庫では、2024年4月から無担保・無保証の創業融資制度が大幅に拡充されました。主なポイントは以下の通りです。
①自己資金要件の撤廃
これまで必須とされていた自己資金が不要となり、ゼロからでも申込可能になりました。ただし審査では依然として自己資金の有無が重視されるため、一定の準備は望ましいといえます。
②融資限度額の拡大
上限が7,200万円に引き上げられました。実際にこの規模の融資が実行されるのは上場を目指すスタートアップなど一部に限られますが、制度としての柔軟性は大きく広がっています。
③支店決済枠の増額
従来1,000万円以内だった「支店判断での融資枠」が3,000万円に拡大。これにより、1,000万円を超える融資がよりスムーズに実行される可能性があります。
④返済期間・据置期間の伸長
運転資金の返済期間は最長10年、据置期間は最長5年に伸長されました。創業初期の資金繰りに余裕を持たせられる点は大きなメリットです。
●制度融資の進化 ― 無保証での利用が可能に(2023年3月~)
地方自治体の制度融資も変化しています。従来は代表者の個人保証が必須でしたが、2023年3月に創設された**「スタートアップ創出促進保証制度」**により、無担保・無保証での利用が可能になりました。
• 対象者:創業予定者、創業後5年未満の法人、分社化予定者など
• 保証限度額:3,500万円
• 保証期間:最長10年(据置期間は原則1年、条件により3年まで延長可)
一方で、創業初年度の決算が未了の場合は「自己資金1/10以上」が必要となり、保証料率も0.2%上乗せされます。
また、融資後3年目・5年目には「ガバナンス体制の整備に関するチェック」を受ける仕組みが設けられています。
●起業リスクを軽減する新しい環境
これまで創業融資といえば「自宅を担保に入れる」「連帯保証で個人資産を差し出す」といったリスクが大きなハードルでした。
しかし現在は、無担保・無保証で資金調達できる環境が整いつつあります。これは、挑戦したい経営者や創業予定者にとって大きな追い風です。
創業融資制度はここ数年で大きく進化し、資金調達の選択肢は確実に広がっています。
特に「無担保・無保証」での利用が可能になったことは、起業に踏み出す大きな後押しとなるでしょう。
※弊所では創業支援を主業務に行っております。制度の活用方法や資金計画の立て方など、具体的なご相談も承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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