「銀行はいくら貸せると見るのか?」
- あいおい法務行政書士事務所
- 10 分前
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‶3つの指標でわかる“貴社の借入余力”
銀行が融資審査でチェックする指標はたくさんありますが、なかでも経営者にとって最も気になるのは「結局、いくら貸してもらえるのか?」という現実的なラインですよね。
今回は、その判断に使われる代表的な「3つの指標」をわかりやすく整理しつつ、貴社の財務状態を見直すヒントをお届けします。
1. 借入月商倍率
借入残高(短期借入及び長期借入)は“何か月分の売上”に相当する?
借入金の残高が平均月商の何か月分に当たるのかを見る、銀行の基本指標です。
「有利子負債合計÷平均月商(売上高/12)」
※有利子負債=長期借入金+短期借入金+社債
3か月以内:青信号
6か月程度:黄信号
6か月超:赤信号(新規融資は厳しい)
特に卸売・サービス業など、設備投資より運転資金が中心の業種では、このラインがそのまま当てはまります。
★ここで、貴社はどうでしょう?
「気づけば半年分以上の月商に相当している…」そんな状態だと、資金の呼吸が浅くなっている可能性があります。
2. 債務償還年数
いまのキャッシュフロー(CF)で借入金を返済すると“何年かかるか?”
有利子負債をキャッシュフローで返済した場合、完済までの年数を示す指標です。
算式はシンプル。
「(有利子負債ー経常運転資金) ÷ 簡易キャッシュフロー」
※経常運転資金=売上債権+棚卸資産ー仕入債務
※簡易キャッシュフロー=経常利益+減価償却費ー法人税等
本来、借入期間(5~7年)と同程度で返済できれば健全ですが、現実は甘くありません。
キャッシュフローだけでは返済しきれず、新規借入で補うケースも少なくないのです。
参考として、
中小企業平均:10.2年
小規模事業者:18.5年
銀行の許容ライン:15年程度
理想は10年以内です。
★貴社はどうでしょう?
「返すまで15年以上かかる計算」もしそうなら、資金繰りの慢性的な“重だるさ”を抱えている可能性があります。
3. 有利子負債依存度
総資産のうち“どれだけ借金で支えているか?”
「有利子負債 ÷ 総資産 ×100(%)」
60%を超えると銀行は赤信号と判断しがちです。
会社規模に対して借入が多すぎると、利息負担が重くなり、金利上昇局面では利益圧迫が一気に強まります。
★貴社はどうでしょう?
「借入金の比率が年々上がっている」
この傾向が出ていると調達余力が細り、運転資金が詰まりやすくなるリスクも高まります。
まとめ
銀行が“いくら貸せるか”を見るときの視点は、意外とシンプルです。
1.月商とのバランス~借入月商倍率
2.返済にかかる年数~債務償還年数
3.資産と借入の比率~有利子負債依存度
この3つが揃って悪化している会社は、「資金繰り」がじわじわ苦しくなり、融資戦略も選びにくくなります。
逆に、これらを定期的にチェックし改善していけば、銀行からの評価は自然と上がり、融資交渉もしやすくなります。
さて、貴社の“借入余力”は今、どんな姿でしょう?
一度、冷静に数字を見つめ直してみる価値は十分にあります。

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