「強い経済」への転換~主役は中小企業
- あいおい法務行政書士事務所
- 12 分前
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令和7年11月12日に閣議決定された高市政権の「総合経済対策」は、日本を長く縛ってきた“デフレ・コストカット型”の発想から抜け出し、「成長型経済」へ舵を切ることを明確に示した大規模政策です。
総事業規模は40兆円超。とりわけ中小企業・小規模事業者への支援が厚く、賃上げ・価格転嫁・資金繰り・省力化投資など、「経営の根幹」に関わる領域が重点的にセットされています。
今回は、経営者の皆さまに特に関係が深い 「コスト削減」「価格転嫁・生産性向上」「成長投資・資金繰り」 の3領域に絞り使える施策とその狙いを分かりやすく整理してみます。
■1.コスト削減に直結する支援策
エネルギー価格や資材価格が高止まりする中、企業の体力を削る“固定費の圧迫”に対して、政府は短期的・直接的に効く施策を準備しています。
●電気・ガス料金の負担軽減
2026年1〜3月のピーク時期に合わせ、電気とガス料金を軽減。
冬場の暖房需要は業種を問わず影響が大きく、飲食・小売・介護など“店舗・施設型事業”ほど恩恵が出やすくなります。
●燃料油価格の安定化
ガソリン・軽油の暫定税率廃止に向けつつ、12月11日からはガソリンへの補助金を25.1円まで引き上げ。
物流・建設・訪問サービスなど、走るほどコストが上がる業種に有効です。
●重点支援地方交付金の拡充
地方自治体が地域の実情に応じて行う物価高対策を支援。
地域商店・中小建設業・運輸・農林水産など、ローカルビジネスの底上げにつながる仕組みです。
■2.価格転嫁と生産性向上を後押し
賃上げを実現するには、「適正価格で売れる環境」と「稼ぐ力の底上げ」が不可欠です。
赤字企業を含めた中小企業が賃上げに踏み出せるよう、整備が進んでいます。
●公正な取引と価格転嫁の徹底
国や自治体の公共調達では、物価上昇を踏まえた単価見直しを実施。
最低賃金上昇やエネルギーコスト増を反映させる動きも加速します。
また、「労務費の適切な転嫁指針」の改正・下請Gメン330名体制による監督強化など、不当な値下げ要求を抑え、適正な価格交渉をしやすい土壌を整えます。
●賃上げ・設備投資の直接支援
・業務改善助成金(最大600万円)
最低賃金引上げに合わせ、業務改善や設備投資で生産性を高める企業を支援。
・重点支援地方交付金の追加メニュー
賃上げ促進税制が使えない赤字企業や農林水産業者を対象に、賃上げを実行できる環境を整えます。
■3.未来の成長につながる投資と資金繰り支援
デフレ脱却の鍵は「企業の稼ぐ力」です。
そのための「投資・経営改善・資金繰り」の後押しが強化されています。
●省力化投資の強化
飲食・宿泊・小売・サービス・製造・運輸・建設・医療・介護など12業種を中心に、生産性向上へ向けたデジタル化・自動化、省力化投資の支援を拡充。
“人手不足の解消 × 生産性向上”を同時に狙う施策です。
●伴走支援の強化
全国のよろず支援拠点に「生産性向上支援センター(仮称)」を設置。
企業の成長課題に気づきを与え、投資につなげる“プッシュ型”伴走支援がスタートします。
●資金調達と再生支援の強化
・予兆管理の強化型信用保証制度の新設
銀行・保証協会・士業が連携して企業の兆候を早期に把握し、支援へつなげる仕組み。
・セーフティネット貸付の拡充
売上または利益率が5%以上減少した企業に金利引き下げ。
・経営改善・再生支援の強化
再生支援・資源整理・経営改善サポート保証など、中小企業活性化協議会の機能を強化。
■施策を“成果”につなげる鍵は、財務・資金繰りの計画性
これらの支援策を活かすには、資金繰り管理、金融機関との関係構築、投資計画の整理が欠かせません。
支援制度は多岐にわたる一方、申請タイミングや財務要件によって“使える・使えない”がハッキリ分かれます。
「どれを使えばいいのか分からない…」そんな時は、お気軽に当事務所へご相談ください。
経営者の皆さまが安心して前に進めるよう、財務面からしっかり伴走いたします。

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