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下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律

  • 執筆者の写真: あいおい法務行政書士事務所
    あいおい法務行政書士事務所
  • 5月30日
  • 読了時間: 3分

令和7年5月16日、発注者・受注者の対等な関係に基づき、事業者間における価格転嫁及び取引の適正化を図るために「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律案」が、参議院本会議において可決成立しました。(同年3月11日国会提出)


その背景・概要としては、近年の急激な労務費・原材料費・エネルギーコスト等の上昇を受けて、発注者・受注者の対等な関係に基づいてサプライチェーン全体で、適切な価格転嫁を定着させる「構造的な価格転嫁」の実現を図っていくことが重要であるとの認識です。


協議を適切に行わずに代金額を決定すること・手形による代金の支払等の禁止、規制及び振興の対象となる取引への運送委託の追加等の措置を講ずることに加え、多段階の取引当事者が連携した取組み等を支援し、価格転嫁と取引適正化を徹底していくことが望まれます。


1.規制の見直し~下請代金支払遅延等防止法

規制内容の追加措置としては、

(1)協議を適切に行わない代金額の決定の禁止(価格据え置き取引への対応)

 〇対象取引において、代金に関する協議に応じないこと、協議において必要な説明または情報の提供をしないことによる、一方的な代金の額の決定を禁止しています。


(2)手形払い等の禁止

 〇対象取引において、手形払いを禁止しています。また、支払期日までに代金相当額を得ることが困難な支払い手段も禁止しています。

 ※手形払いの禁止に伴い、割引困難な手形に係る規制を廃止しています。


規制対象の追加措置としては、

(3)運送委託の対象取引への追加(物流問題への対応)

 〇対象取引に、製造・販売等の目的物の引き渡しに必要な運送の委託を追加しています。


(4)従業員基準の追加(適用基準の追加)

 〇従業員数300人の区分を新設、規制及び保護の対象を拡充しています。

 (役務提供委託等は100人)


執行の強化等措置としては、

(5)面的執行の強化

 〇関係行政機関による指導及び助言に係る規定、相互情報提供に係る規定等を新設しています。


※その他の措置としては

・製造委託の対象物品として、木型その他専ら物品の製造に用いる物品を追加。

・書面等の交付義務において、承諾に有無にかかわらず、電磁的方法による提供を許容。

・遅延利息の対象に、代金を減じた場合を追加。

・すでに違反行為が行われていない場合等の勧告に係る規定を整備。


2.振興の充実~下請中小企業振興法

(1)多段階の事業者が連携した取組への支援

 〇多段階の取引からなるサプライチェーンにおいて、2以上の取引段階にある事業者が作成する「振興事業計画」に対し、承認・支援できる旨を追加しています。


(2)適用対象の追加

 〇製造・販売等の目的物の引き渡しに必要な運送の委託を対象取引に追加、また法人同士においても従業員数の大小関係がある場合を対象に追加しています。


(3)地方公共団体との連携強化

 〇国及び地方公共団体が連携し、全国各地の事業者の振興に向けた取組を講じる旨の責務と、関係者同士の情報交換など密接な連携に努める旨を規定しています。


(4)主務大臣による執行強化

 〇主務大臣による指導・助言をしたものの、状況が改善されない事業者に対して、より具体的措置を示して改善を促すことができる旨を追加しています。



3.「下請」等の用語の見直し~下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法等

〇用語について

「下請事業者」を「中小受託事業者」に、「親事業者」を「委託事業者」等に改めること。


〇題名について

「下請代金支払遅延等防止法」を「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」に、「下請中小企業振興法」を「受託中小企業振興法」に改めること。


施行期日:令和8年1月1日(ただし、一部の規定は本法律の公布の日から施行。)



                    ※参照資料:中小企業庁サイト資料より抜粋












 
 
 

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  ※ASJ認定財務コンサルタント

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