2025年版 中小企業白書・小規模企業白書
- あいおい法務行政書士事務所
- 5月2日
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中小企業庁が取りまとめた「令和6年度中小企業の動向」「令和7年度中小企業施策」(中小企業白書)、「令和6年度小規模企業の動向」「令和7年度小規模企業施策」(小規模企業白書)が、2025年4月25日、閣議決定されています。
2025年版 中小企業白書・小規模企業白書のポイントとして、2つが挙げられています。
(1)中小企業・小規模事業者の動向
①令和6年度は、ご存じのように物価高が継続し、30年ぶりに「金利ある時代」が到来。
輸出よりも輸入の比率のほうが高く、借入金の依存度が高い中小企業や小規模事業者に
とっては、利益の下押しリスクとなり得るので依然として厳しい状況が続いています。
②また、2024年の春季労使交渉では、約30年ぶりの賃上げ率を達成していますが、大 企業との差はむしろ拡大しました。中小企業の労働分配率は8割近いので、さらなる賃
上げの余力は厳しい状況でもあります。一方、人手不足は深刻な状況が続いており人材
確保のために、業績改善を伴わない賃上げも増加傾向です。
③こうした状況下、コストカット戦略はすでに限界を迎えており、物価・金利・人件費の
上昇と、構造的な人手不足に直面している今こそ「積極的な設備投資・デジタル化」と「適切な価格設定・価格転嫁」の推進により、付加価値や労働生産性を高める経営にシフトチェンジしていくことが望まれます。
(2)中小企業・小規模事業者の成長・持続的発展に向けての有効な取り組み
上記のような様々な課題を乗り越え、中小企業・小規模事業者が成長し発展を遂げるには経営者が自らが置かれている状況と方向性を的確に把握し、最適な対策を打っていくための「経営力」が最も重要です。
本白書では「経営力」について、以下3つの観点から分析しています。
①個人特性面
異業種・広域ネットワークで他の経営者と交流し、学び直しに取り組む経営者の成長意欲の高さは、業績向上に寄与します。
②戦略策定面
経営計画策定と実行、他企業との差別化や市場環境を意識した適切な価格設定を行う戦略的経営は、業績向上や賃上げ・投資を促進します。
③組織人材面
経営理念・業績・経営情報の共有を重視するオープンな経営は、業績向上に寄与します。賃上げ、社内コミュニケーションの円滑化、働き方・職場環境の改善など、従業員を大切にする人材経営は、従業員の確保・維持に貢献します。
それらを踏まえて、中小企業では売上高規模ごとに異なる「成長の壁」の打破が重要となります。
成長の加速段階では、経営者が持っていないスキルを持つ補完型人材の確保や、経営者の職務権限の分散による一人経営体制の克服が重要です。
売上高100億円以上では、拡大する組織を経営者と共に支える経営人材(右腕となる参謀のような人材)やDX(デジタルトランスフォーメーション)人材の確保が重要です。
また、企業規模拡大には積極的なM&Aやイノベーション、海外展開の推進などが有効な手段となり得ます。
小規模事業者では、事業規模・商圏が限られている中、他企業との差別化による独自の「強み」の創出・発見が重要です。
また、経営計画策定等を通じて経営者のリテラシーを高め、経営の振り返り~モニタリングとチェック・改善のサイクル(PDCA)を通じた「経営の自走化」を目指すことが重要です。加えて、地域の社会課題の解決事業を担うビジネスの推進も期待されています。
※参考資料~経済産業省サイト:ニュースリリースより抜粋
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